サイバーセキュリティシンポジウム道後2026(SEC道後2026)

開催趣意

 通信インフラの高度化やスマートフォンの普及等に伴い、デジタル技術を活用した多様なサービスは国民生活において不可欠なものとなっています。新たなデジタル技術の進展は、生産性の向上や新たなビジネスチャンスの創出をもたらすとともに、労働力不足、地域経済の活性化など、我が国が抱える様々な社会的・経済的課題の解決に資することが期待されています。

 一方、IoT機器の増加やクラウドサービスの急速な普及により、あらゆる人がサイバー空間に関わる機会が増える中で、サイバーセキュリティの脅威は年々深刻化しています。サイバー攻撃の手法は多様化・多層化の一途をたどっており、サプライチェーンの脆弱性を狙った攻撃により企業がサービスを停止する事例や、生成AIを利用しランサムウェアが作成された事例が発生するなど、従来の枠を超えた手法も顕在化しています。また、フィッシング等を通じた証券口座の乗っ取りなど、企業だけでなく一般の方を対象とした攻撃も依然として多く発生しています。
 サイバー攻撃は目に見えない脅威でありながら甚大な被害をもたらします。政府は、今年5月に成立したサイバー対処能力強化法等に基づき、官民が連携し、より早期かつ効果的にサイバー攻撃を把握し対応する「能動的サイバー防御」に取り組むこととしています。企業・個人においても、ネットワークにつながる一人ひとりが自分ごととしてサイバー攻撃のリスクを認識し、適切な対処をしていくことが重要です。

 四国では、「サイバーセキュリティシンポジウム道後(SEC 道後)」を10年以上前から毎年開催し、全国から専門家や関心の高い方々を幅広くお招きして、サイバーセキュリティの重要性について広く啓発を図るとともに、参加者同士の連携・交流を深める場として、取組を継続してきたところです。
 また、2022 年 12 月に発足したサイバーセキュリティに関する地域コミュニティである「四国サイバーセキュリティネットワーク」では、産学官の幅広い組織の相互連携を促進し、年間を通したセミナー・演習の実施、情報共有の強化等により、四国地域全体におけるサイバーセキュリティに対する意識の向上や人材育成につながる取組を推進しています。

今回の SEC道後は、「多様化・多層化する脅威への挑戦 ~デジタル社会のセキュリティ戦略~」をテーマに掲げ、サイバー攻撃の手法が一層複雑かつ巧妙になった現代において、増大する脅威にどのように対抗し、安全・安心なデジタル社会を実現していくかについて、最新の政策動向や技術・手法等について専門家や実務者による多角的な視点からの議論を深め、参加者同士のネットワーキングや意見交換を通じ、新たな知見やアイデアを創出する機会となることを期待しています。

 SEC道後が、参加される皆様の情報収集と、皆様が関係する組織におけるセキュリティ対策の取組推進に向けた一助となり、安全・安心なデジタル社会の構築と地域の発展に役立てば幸いです。

令和7年11月
サイバーセキュリティシンポジウム道後実行委員会 実行委員長
松山大学 教授 小林 真也

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